【解説】中国で「あつ森」販売禁止!本当に怖い中国サイバーセキュリティ法違反
本サイトでは、中国では「VPNやShadowsocksの利用そのものより発言内容に注意」と説明してきました。
中国在住の日本人であれば、ゲーム内におけるちょっとした行動でも注意が必要であることがわかるニュースです。
「あつまれ どうぶつの森」が中国で販売禁止!当局の指導か?
2020年4月、任天堂「Nintendo Switch」の人気ゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」が中国の通販サイトや小売店の店頭から姿を消えたと香港メディアが報じています。
中国国内では「あつまれ どうぶつの森」向けには正規販売されていません。
世界中で販売され値るグローバル版には中国語も収録されており、中国でも「あつまれ どうぶつの森」を楽しむユーザーも多い状況でした。
これまでは海外から並行輸入されたこのグローバル版が中国の通販サイト淘宝(Taobao)や小売店等で販売されていたのですが、これが一斉に姿を消したようです。
そもそも中国国内において正式販売もされていないものであるため、今回の件について中国当局から何かしらの発表があったわけではありません。
しかしながら、一斉にその店頭から姿を消したのは事実のようであり、何らかの力が働いたことは間違いありません。
「あつまれ どうぶつの森」はプレイヤーが無人島に移住し、生活に必要な道具などを自由に手作りして遊ぶ内容。
自由にその環境をデザインすることができ、メッセージや加工した写真を貼り付けたりして、ゲーム内にいる第三者にアピールしたりすることができる。
要するにFacebook等のSNSのような利用方法が可能となります。
中国でもSNSそのものが禁止されている訳ではありません。
しかしながら中国のSNSは個人認証も厳格に実施されており、その発言内容も政府の監視下にあるため、中国人自身もかなり注意して利用しています。
このような中で、「あつまれ どうぶつの森」のゲーム空間において中国政府の批判をしたり、活動家同士の集会が行われてきたということらしいのです。
ゲームの中と言えども中国政府の批判をしたりする空間が存在するということは、政府当局から問題視されるのも当然のことでしょう。
中国サイバーセキュリティ法の規定とは?厳しい罰則もあります
中国ではVPN等の利用により海外へのインターネットを利用すること自体は大目に見られており、VPNの利用者が取り締まりの対象となる事はほぼありません。
しかしながら、そのインターネット上における発言内容等については特に注意する必要があります。
中国サイバーセキュリティ法に基づき、中国在住の者はインターネットプロバイダや携帯電話等の利用契約時に以下のような誓約をします。
(もちろん、よくある契約書の細かい内容の一文であり中国人もこれを読む訳ではありませんが、意識していることは間違いありません)
利用者は、通信ネットワークを利用して、国の安全を脅かす、国家機密を漏洩するなどの犯罪活動を行わない。
また、通信ネットワークもしくは業務プラットフォームを利用して、憲法、法律に違反し、法令が禁止する有害な情報、社会的治安を乱し、国の統一を破壊し、民族の団結を破壊する情報、猥褻、暴力に関わる情報を制作、閲読、複製、公布もしくは伝達せず、次の各号に掲げるいずれかの内容の情報を公布しない。
(1)憲法、法律、行政法規の実施の抗拒、破壊を煽る
(2)国の政権の転覆、社会主義制度の否定を煽る
(3)国の分裂を煽り、国の統一を破壊する
(4)民族的な憎悪を煽り、民族差別に触れ、民族の団結を破壊する
(5)事実を捏造または歪曲し、デマを散布し、社会秩序を紊乱する
(6)封建的な迷信、猥褻、賭博、暴力、殺人、恐怖を散布し、もしくは犯罪を教唆する
(7)他者を公然と侮辱し、または事実を捏造して他者を誹謗する
(8)国の信用を損ねる
(9)憲法、法律、行政法規に違反するその他の内容を含む
(10)利用者の事業のプロモーションチャネルが猥褻など違法かつ低俗な情報コンテンツに関わる
要するに「あつまれ どうぶつの森」における一部のプレイヤーの言動が、この中国サイバーセキュリティ法に違反しているということになります。
(中国には、インターネットの利用だけではなく同様の内容の法律は幾つもあります。中国サイバーセキュリティ法よりも更に厳しい法律にも違反している可能性はあります)
今回は香港の活動家による利用方法が対象であるようですが、これが中国在住の方であれば厳しい罰則を受けることとなる重要な案件です。
中国在住で「あつまれ どうぶつの森」をプレイする日本人ユーザーの方も多いでしょう。
もちろんSwitchの国際版であれば、これをプレイするユーザーを特定するということは仕組み上できないはずです。しかし、日本人の方はこのようなゲーム内における活動には関わらないようにしたほうがよいでしょう。
(今後発売される予定のSwitch中国版はユーザーを認証して特定する仕組みが組み込まれる可能性はあります)
このようなことがあれば「あつまれ どうぶつの森」中国版の今後の正式な許認可も得られなくなりますし、中国国内における「Nintendo Switch」の販売にも良くない影響が出てしまうでしょう。
日本人としては任天堂を応援したいという気持ちもありますので、残念に感じるところです。
ゲームはあくまでゲームとして利用して欲しいと考えます。
皆様も十分注意して、中国のインターネット、VPNやShadowsocksの利用をお願いします。
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※本記事のイラストは「イラストAC」からダウンロードして利用させていただいています 。