中国へスマホやPCの持ち込みは危険?入国時に検査されるのは本当?過度な心配は不要ですが対策は必要です
中国国家安全部が公布した「国家安全機関の行政法執行手続きに関する規定(以下「手続規定」と言います)」が正式に制定され、2024年7月1日から施行されています。
この規定に含まれる「国家安全機関人員は、法に基づいて個人及び組織に関する電子機器、施設及び関連アプリケーション、インターネットツールを検査することができる」の項目について、中国国内のみならず、日本人を含む外国からの駐在員及び出張者などに注目されています。
本記事ではこれらの手続規定について解説をいたします。
※ジョイテルと本記事について
ジョイテルは中国専門のWiFiレンタル事業者です。
本記事も日本人の皆様が安心して中国へ渡航・滞在して活動できるようにと願い掲載をしています。過度に不安を煽ることなく、実務的なレベルで対策を行う必要性について解説をしています。
ご留意いただきたい点としては、ジョイテルは法律事務所でも公的な機関でもないことから、本記事解説についても法律的な裏付けに基づく内容ではないことがあります。
中国における長年の実務に基づく経験則により解説を行っていることについてご理解いただければ幸いです。
「中国スマートフォンレンタル・中国どこでもペイ」中国お支払いアプリも簡単便利にご利用可能
【2024年7月】中国への入国者の電子機器に対して現場検査が可能に
今回発表された手続規定では、国家安全機関が中国に滞在する者や入国する者に対して、携帯電話やパソコンなどの電子機器を検査する権利を持っていることが規定されています(手続規定の第40条)。
このような検査を行う場合は、市レベル以上の国家安全機関の責任者の承認を得て通知書を作成するなどの手続きをとると規定していますが、緊急の場合は、承認があれば当局者だと明示することで現場で検査できるとしています。
現場の判断で検査ができるとされていることから、例えば、高度な技術情報を持つ企業に所属する方が狙われて、パソコンやスマホに保存されたそれらの情報を検査によって抜き取られるような危険があることが懸念されています。
日本を含む海外のメディアもこの手続規定について大きく報道し、中国へ渡航する機会の多い企業等から大きな懸念の声があげられました。
中国側見解は?各国の懸念の声に対して抗議的な声明も発表
中国側当局においてもこれらの各国メディア等からあげられた懸念の声に対して敏感に反応し、公式ではないのですが抗議的な声明を発表しています。
中国の国家安全機関によるSNSへの投稿です。
「中国入国時の電話検査」?でたらめな疑惑は今すぐ中止せよ【国家安全部】(中国語)
本記事では全文翻訳は掲載しませんが、要約は以下の通りです。
・「すべての人が中国へ入国する際に電子機器の検査を受けることになる」との主張は事実の歪曲である。
・各国(日本以外?)においては反スパイ法があり、中国においても同法律の運用を開始したものである。
・軍や機密とされる区域で写真やビデオを撮影する場合等、査察の対象が明確にされている。
・検査手続きが明確に規定されている。
本内容に関する批評は記載しませんが、この二つ目の項目については中国側の実際の考えが含まれているのではと考えられます。
現状の運用は?現状では過度な心配は不要です
手続規則が施行されてからまだ2週間程度ですが、中国在住の日本人や出張者の間でもパソコンやスマートフォンを当局に検査されたとの情報は入っておりません。
もちろん100%無いということではありませんが、とりあえず心配されたような中国へ入国する全ての外国人に対してパソコンやスマートフォンを検査して、データを抜き取るような運用は行われていないようです。
これらの手続規定があるとしても、いきなり一般的な個人を拘束して所有するパソコンやスマートフォンを検査することはさすがに無いと考えてもよいでしょう。
日本の某掲示板等では、中国へ行くと突然に拘束されて取り調べを受けるような論調がありますが、そのような極端な意見は無視してもよいのではと考えられます。
もちろん本記事時点での状況ですので、今後将来においての状況はわかりません。
後述の対策は必要であると考えられます。
中国で注意すべき行動とは?地位のある方は特に注意が必要です
今回解説の「手続規定」の中で最も懸念とされるのは『緊急の場合は現場で検査できる』の記載であると考えられます。
「緊急の場合」とは何をもってそのように判断が行われるのかがわからない状況です。
しかしながら、その「緊急の場合」に当てはまらないようにするために、日本人の中国における行動についてこの手続規定に依るもの以上に中国特有の注意が必要である事柄が幾つかあります。
実際のところ、以下にあげるような行動に注意することの方が重要であると考えられます。
(ジョイテルとしても、今回解説の手続規定よりも以下の行動に注意することの方が遥かに重要であると考えています)
・公的な立場の方へ賄賂を贈る
・軍や警察その他機密性の高い場所等で写真を撮る
・SNSで政治的な発言をする
・夜のお店に行く
公的な立場の方へ賄賂を贈るのは、もちろん日本でもコンプライアンス違反です。
中国でも事業を円滑に進めるために何らかの贈り物的なものが必要になることもありますが、これは少なくとも日本人本人は避けるべきと言えます。
軍や警察その他機密性の高い場所等で写真を撮る。実はこれが許されているのは日本だけと考えた方がよいでしょう。中国に限らず海外では写真撮影が禁止の区域が多数あります。
珍しいものがあるからと言って写真を撮り、それを咎められてスマホを調べられてしまうということはあり得ます。まさに今回解説の「緊急の場合」に該当する行為であると言えます。
SNSでの政治的な発言や公的に認められていない情報を拡散する等の行為も危険です。
これは、ジョイテル中国トピック内でも何度かお伝えしていますが、中国のSNSは当局の監視下にありますので、その中での政治的な発言等は控えるべきです。
日本人が良かれと思ってやってしまいがちなのは、事故や災害の現場に出くわしたときにこれを写真に撮って拡散したりすることです。日本のように「拡散希望」のようなタグ付きで情報発信を行うのはそれがどのようなものであっても行うべきではないと考えられます。
中国当局が公式に認めた以外の情報を拡散してこれを見たものを不安に陥れたことが罪に問われる可能性があるためです。
このような行為が発覚した場合、まさに今回解説の「緊急の場合」に該当するとして、スマホやパソコンを検査されてしまう可能性が高くなります。
そして最後に、実はいわゆる夜のお店(日本人が思うところの夜のお店です。ご想像にお任せします)は違法です。
それらのお店は堂々と看板も掲げて営業はしていますが、そこへ出入りすることは認められた行為ではないということは注意すべき点です。
少し前の話ですが、夜のお店でお楽しみ中の日本人の方が公安に踏み込まれて拘束されてしまったという事例もあります。
もちろんほとんどの日本人の方々は今でも気軽にそれらのお店に出入りしており問題はありませんが、いざとなれば罰則の対象となる可能性があることは意識しておくべきです。
ここに挙げた行為に注意が必要となるのは、それらの違反行為があった上でその他の取り調べにつながる可能性があるということです。
後日に当局がオフィスにやって来て本記事にもあるパソコンやスマートフォンの検査につながる可能性があるということになります。
特に大企業や上述にもある高度な技術情報等を持つ企業のそれなりの地位にある人は注意が必要です。
やはり調査の対象もそれなりの地位にある人が狙われやすいためです。
それなりの地位にある方は、中国出張においてはご自身の行動に注意をお願いします。
海外に出ると日本国内におけるコンプライアンス遵守意識が薄れてしまい、その国々において日本とは異なる違法となる行為について理解が浅いままに行動してしまうことは非常に危険なことであるとの認識をお願いします。
中国渡航時の情報管理は?クラウドと中国専用スマートフォンが鍵
上述の注意すべき行動について意識し、中国へ持ち込むパソコンやスマートフォンはしっかりと情報管理に関する対策を行うことにより安心して中国出張を楽しむことができるでしょう。
もちろん日本国内でもパソコンの紛失や盗難に備えて、それらの対策を採用している企業も多いことでしょう。
いわゆるシンクライアントのパソコンとすることでほぼ万全な対策となりますが、少なくともデータファイルだけでもパソコンには残さないとするような対策が最低限必要であると考えられます。
また、中国に入国する際にはクラウドへのログイン情報を別に管理(パソコン内には残さない)することも重要です。
これに対し、スマホの場合は全ての情報をクラウド側で管理するのは難しいと思われますので、、
中国へ出張する場合だけ専用に利用するスマートフォンを準備するのがよいのではないでしょうか。
日本で通常利用する個人用のスマートフォンには、中国に関連するアプリはインストールしない。
中国用のスマートフォンには、個人情報はできる限り設定せず、中国生活に最低限必要なアプリのみをインストールして利用する。
中国で業務として写真を撮る場合でも、中国用のスマートフォンで撮影・保存するようにした方がよいでしょう。
これらの対策により、個人や日本側の業務と中国における活動の情報を切り分けることができます。
もし万が一本記事の手続規則にあるような検査が行われるとした場合には、この中国用のスマートフォンを渡せばよいということになります。
(もちろん手持ちのスマートフォンは全て検査が求められることになりますが、個人用のスマートフォンは中国内では持ち歩かないか、もしくはそもそも持ち込まない等の対策が必要であると考えられます)
「中国スマートフォンレンタル・中国どこでもペイ」中国お支払いアプリも簡単便利にご利用可能
これらの対策により安心して中国へ渡航することができるようになります。
中国へ渡航される皆様ご本人はもちろん、日本側本社にて海外出張を取りまとめる人事・総務部門のご担当者様も一度ご検討をいただければ幸いです。
※中国へ初めてもしくは久しぶりに旅行される皆様へ
中国の観光地も入場にはアプリによる支払いが必要な時代です。
中国に行くなら?中国決済アプリの準備が必要です。
【中国で日本人出張者もすぐに使える】現金チャージ済アリペイが利用できるスマホを480RMBでレンタル
もちろん中国渡航の必需品!ポケット型WiFiルーターも!
中国でも快適に日本のインターネットを利用するなら「中国どこでもWiFiレンタルプラン」のご検討もよろしくお願いします。
中国でも日本のインターネットが快適に利用できます「中国どこでもWiFiレンタルプラン」
まずはジョイテルサポートセンター(support@joytel.jp)へメールもしくはお問い合わせフォームからご連絡をお願いいたします。
※本記事のイラストは「イラストAC」からダウンロードして利用させていただいています 。